融資にあたって知っておきたいのが「保証人」というもの。
言葉は知っているけど、ちゃんと理解しているか怪しい・・・
という人もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は長野市の融資専門である公認会計士・税理士の丸山が「保証人」について解説します。
保証人という制度について
不動産を担保にすることを物的担保といいますが、保証人をつけることを人的担保といいます。
保証人は、「お金を借りた人が返済できなくなったときに、お金を借りた人の代わりに返済します」という約束です。
この約束のことを「保証契約」といいます。
金融機関としては、お金を貸した人からお金が回収できなくなりそうな時でも、保証人を付けてもらっていれば、保証人からお金を回収できるのでありがたい制度です。
しかし、保証人となる人は、お金を返さないといけない責任が生まれます。
「絶対に返すから、保証人になって欲しい」
と言われて、保証人になってしまったがために、自分が借りてもいないお金を返すはめになってしまったという話は少なくありません。
「金を借りたあいつに頼まれて名前を貸しただけだから、自分には関係ない」
と思うかもしれませんが、保証契約はお金を借りた人との間で交わす約束ではなく、保証人となる人と金融機関との間で交わされる約束です。
ですので、金融機関との間の約束は「無し」にはできないのです。
単純保証人と連帯保証人
保証人には、「単純保証人」と「連帯保証人」というものがあります。
通常、金融機関から要求されるのは「連帯保証人」です。
なぜなら、単純保証人に比べて連帯保証人のほうが、貸したお金の回収がラクになるからです。
裏を返すと、保証人となる人にとっては、連帯保証人のほうが単純保証人に比べて約束の条件が厳しく責任が重いものとなります。
それでは、単純保証人と連帯保証人がどういうものか詳しくみてみましょう。
単純保証人とは
金融機関は貸したお金の返済が滞ると、まずは本来お金を借りた人に返済の請求をします。
もし、お金を借りた人より先に保証人に返済請求がきた場合、保証人は「先にお金を借りた本人に請求しろ!」という権利があります。
また、お金を借りた本人に財産がある場合、本人に金融機関が返済の請求をした後、お金を代わりに返してくれと言われても、「借りた本人に財産があるんだから、本人の財産を先に差し押さえろ!」と言うこともできます。
さらに、保証人が複数いる場合、単純保証人の場合は、保証人の間で返さなくてはいけないお金を平等に分けて返済することもできます。
例えば、100万円の借金があり、保証人が2人いるとします。
その場合は、1人あたり50万円を負担すればよく、保証人の1人が50万円を返せなくても、残り1人の保証人は50万円を支払えばそれで終わりです。50万円を超える分は負担しなくていいのです。
連帯保証人とは
これに対して、連帯保証人は、お金を借りた本人と全く同じ扱いを受けます。
どういうことかというと、金融機関は、お金を借りた本人より先に、連帯保証人に対してお金を返してということができるのです。
お金を借りた本人の返済が滞ったとかは関係なく、いきなり連帯保証人にお金を返して!ということもできてしまうのです。
道徳的に、お金を借りた本人より先に、連帯保証人に対してお金を返せ!ということは無いのでしょうが、もし返済の請求がきたら連帯保証人は返済に応じるしかないのです。
また、借金をした本人に財産があったとしても、連帯保証人の財産を先に差し押さえることもできます。
保証人が複数いる場合、単純保証人は、平等に返さなくてはいけない金額を保証人の間で分けることができますが、連帯保証人は全員で協力して全額返さないといけないのです。
例えば、100万円の借金に、連帯保証人が2人いるとします。
この場合、1人の連帯保証人に返済能力がない場合、もう1人の連帯保証人が100万円全額を返済しないといけないのです。
つまり、連帯保証人の人数に関係なく、金融機関は1人の連帯保証人に対して全額返せ!ということができるのです。
繰り返しになりますが、連帯保証人になるということは、お金を借りていなくても、お金を借りた本人と同様の返済義務を負うということになります。
私も父から、「連帯保証人にはなるな」と口を酸っぱくして言われたものです。
保証人不要「無保証」の融資がいい理由
株式会社を設立すると、株主は出資したお金以上の責任を負わないという決まりがあります。
専門的に言うと、株主有限責任の原則といいます。
1人で会社を設立すると、出資者である株主は代表取締役(社長)となるのが通常ですから、株主=社長ということになります。
つまり、社長は会社を設立するときに出資した金額だけ責任を負えばよく、もし会社がつぶれても出資した金額以上の責任は負わないというのが原則なのです。
しかし、金融機関でお金を借りるときには、社長個人が連帯保証人になるよう要求されることが通常です。
社長個人が連帯保証人となれば、もし会社が倒産した場合、社長個人が借金を全額返さなくてはならないということになります。
これは、社長個人が連帯保証人になると実質的に株主有限責任の原則は無効となってしまうということです。
したがって、保証人が不要となる融資を活用することで、株主有限責任の原則を活かすことができるのです。
なお、個人事業主には、株主有限責任の原則のようなものがありません。
したがって、個人事業主は事業に失敗した責任をすべて負う必要があります。
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