融資が成功する創業計画書の書き方~「創業の動機」の書き方について~

融資が成功する創業計画書の「創業の動機」の書き方について説明します。

創業融資を成功させるために重要な創業計画書。

創業計画書は金融機関が融資を行うにあたって、「貸したお金がきちんと返ってくるかどうか?」を判断するために使われるものです。

創業の動機だけで融資の良し悪しが決まるわけではありませんが、金融機関の担当者が見て、「この人にお金を貸したくないな・・・」と思われるような記述があったらどうでしょう?

創業の動機は、創業計画書の始めのほうに書くことが多く、創業計画書の第一印象となります。

したがって、第一印象の「創業の動機」でイメージを悪くしてしまうと、せっかく頑張って作った創業計画書のほかの項目も「大丈夫かな?」と疑いの目線で読まれることになってしまいます。

融資を成功させるために、まずは創業の動機をしっかり書くことが重要です。

それでは、どのような書き方をすればいいのかをみてみましょう。

融資が成功する事業計画書の書き方~「創業の動機」の書き方~

創業計画書「創業の動機」の書き方

まず金融機関の目線を知る

創業の動機は、若いときからずっと目標にしていた、取引先との出会いがきっかけになった、自分の意思とは関係なく創業せざるをえなかったなど、人それぞれにいろいろな動機があると思います。

そんなあなたの動機の中でも、創業融資を成功させる「金融機関に刺さる動機」とはどういった視点で書かれたものなのでしょうか。

金融機関に刺さる動機は、金融機関の立場を意識することで誰でも書けるようになります。

つまり、金融機関が知りたいと思っている情報を書いてあげれば、必ず金融機関に刺さる動機になるのです。

そのためには、まず、金融機関がどのような視点で融資の審査をしているのかについて知る必要があります。

金融機関の目線を知り、それに答えるかたちで創業の動機を記載すれば、金融機関に刺さる創業の動機を書けるのです。

それでは、金融機関が創業融資の審査で重視しているものがどういったものなのか説明しましょう。

創業融資において、金融機関の審査で重視されているポイントは、以下の3点になります。

  • あなたの能力
  • あなたの財力
  • 事業計画の実現性

「あなたの能力」、「あなたの財力」、「事業計画の実現性」が金融機関の融資審査で重要なポイントとなります。

この3つのポイントのうち、創業の動機に関連するのが、「あなたの能力」となります。

具体的にどういうものなのか、次項で「あなたの能力」について詳しくみてみましょう。

金融機関の審査で重視されるそれぞれのポイントについては、下記の記事で詳しくまとめてあります。

創業融資を確実に成功させる方法~創業融資の審査のポイント~

あなたの能力について

金融機関が重視する「あなたの能力」というのは、あなたに事業を成功させるだけの能力があるかどうかということです。

では、金融機関はどういったところで、事業を成功させるだけの能力があると判断するのでしょうか。

それは、「創業の動機」、「開業しようとしている事業の経験」、「開業しようとしている事業に対する考え方」によって判断しています。

創業の動機がでてきましたね。

金融機関の視点によれば、

創業の動機は、あなたが事業を成功させるだけの能力があるかどうかを判断する材料

ということになります。

したがって、創業の動機では、あなたに事業を成功させるだけの能力があることを客観的な事実をもって示せばいいのです。

そこまではわかったけど、具体的にどういう風に書けばいいの?

と思うかもしれませんね。

次章では、創業の動機を記載する上でのポイントについて解説したいと思います。

創業の動機の書き方のポイント

創業の動機の書き方のポイント

開業は思いつきではなく、以前から考えていたような記載となっていますか?

金融機関の担当者は、思いつきで創業する人を嫌がります。

もう一度、金融機関の視点に戻ってみましょう。

「この人にお金を貸しても大丈夫かな?ちゃんと返してくれるかな?」

と金融機関の担当者は思っています。

たとえば、思いつきで、「開業したいので、お金を貸して下さい」と言われても、あなたならお金を貸したいと思いますか?お金が返ってくると思いますか?

逆に、準備をしっかりしてきた人から「開業したいので、お金を貸してください」と言われたらどう思いますか?

もちろん、準備をしっかりしてきた人のほうにお金を貸したいと思いますよね。

ですので、創業の動機を書く時には、開業に向けて準備してきたことがあれば記載するといいのです。

たとえば、「起業スクールで必要な知識を身に付けた」、「見込み客を確保した」、「独自の仕入先を確保した」、「貯金をしてきて開業の目標金額に達した」といったものです。

特に、見込み客が確保できていることは大きなプラス要因になります。

創業の動機は、あなたが開業にあたって準備したことを記載しましょう

これから始めるビジネスは、これまでの経験を活かしたものであることを記載していますか?

金融機関の担当者は、新規で始めるビジネスがあなたのこれまでの経験を活かしたものであるほど、成功の可能性が高くなると考えます。

たとえば、「飲食業を8年経験した人が、レストランを開業する場合」と、「飲食業をまったく経験していない人が、レストランを開業する場合」では、どちらが成功しやすいと感じるでしょうか?

未経験で開業するよりも、飲食業の経験を8年積んだ人の方が、レストランを開業してうまくいくと思うのが当然ですよね。

しつこいようですが、金融機関は「貸したお金が返ってくるか?」を考えています。

成功しそうな事業ならお金を貸しますし、失敗しそうな事業ならお金は貸しません。

したがって、あなたのビジネスが成功する可能性が高いものであることを金融機関へ示す必要があります。

そこで、新規ビジネスに関連した経験を、「どこで」、「どんなことを」、「何年経験した」と記載するのです。

また、「〇〇を実践したら、△△という結果が出た」というような、これから始める事業にとってプラスとなる「過去の経験で得た成果」などもあれば記載しましょう。

そうすることで、あなたのビジネスが成功することの説得力を増加させることができます。

創業の動機は、あなたのこれまでの経験を活かした事業であることを記載しましょう。

単に良い物件(店舗)が見つかったというだけの理由になっていませんか?

開業にあたっての準備が整っていないにもかかわらず、「良い物件が見つかったので開業したい」という動機では、金融機関から計画性のない人と思われてしまいます。

これは、思いつきで開業するのと一緒です。

金融機関から計画性がないと思われると、どういうことになると思いますか?

あなたがいま作ろうと思っているのは、「創業計画書」です。

計画性がなさそうな人が作っている創業計画書って・・・・信頼できますか?

信頼できないものにお金を貸そうと思いますか?お金が返ってくると思いますか?

もう言わなくてもわかりますよね。

お金は貸してもらえません。

良い物件が見つかったというのはとてもよくわかりますが、とりあえず一旦落ち着きましょう。

良い物件が見つかったというのを前面にだすのではなく、いままで開業のための経験を積み、準備も進めてきた、そしてちょうどいい物件があったのでこのタイミングで創業を決めたという記載をこころがけましょう。

そうすれば、しっかり準備してきた計画性のある人だという印象を持ってもらえます。

もし、開業の準備が整っていないと感じるのであれば、一歩立ち止まって準備を整えてから開業することをおすすめします。

創業の動機は、単に良い物件(店舗)が見つかったという理由だけではなく、開業のために経験したことや準備したことも記載しましょう。

どんな事業をしたいのか概略を読み取ることはできますか?

金融機関の担当者は、どんなビジネスをしようと思っているのか、その概要をまず知りたいと思っています。

したがって、あなたが事業として提供するサービスを簡単に記載しましょう。

また、サービスに新規性や独自性がある場合は、積極的に記載するといいでしょう。

創業の動機は、提供するサービスの概略を記載しましょう。

こんな動機はNGです

・仕事が面白くないから
・転職先がないから
・お金が儲かりそうだから
・誰かにすすめられたから
・知人が儲かっていそうだから

というような理由は、いいかげんで主体性に欠けるイメージを持たれるため記載しないようにしましょう。

何度も言いますが、金融機関は「お金を貸したいか?貸したお金が返ってくるか?」という視点で見ているということを忘れないようにしましょう。

家族や身内の理解を得ていますか?

創業の動機~家族や身内の理解を得ておきましょう~創業の動機の書き方と少し話がそれてしまいますが、家族がいる場合、開業を理解してもらうことの重要性を知っておいてください。

創業することによって、金銭面や仕事の責任に大きな変化が起こります。

仮に、病気やケガで働けなくなってしまった場合、サラリーマンなら有給休暇などを使って収入面をカバーすることもできますが、創業して事業主になれば、休業したことによって収入に大きな影響がでてきます。

そんな時に、家族の支えなくして事業の継続は不可能です。

家族の理解を得られていないようでは、金融機関から支持してもらうことも困難ですので、家族から理解してもらうことはとても重要です。

開業は、家族や身内に理解してもらってからにしましょう。

最後にひとこと

創業の動機に限らず創業計画書の全般にいえることですが、読み手のことも考えて、わかりやすく記載することを意識しましょう。

書くスペースが限られていますので、ないとは思いますがなるべく空欄は作らずに書ききりましょう。

空白だらけの創業計画書・・・やる気ありますか?って思われちゃいますよ。

やる気のない人にお金は貸したくないですよね。

創業計画書は、各金融機関の提供しているフォーマット内で書けば結構ですが、どうしても書ききれない場合は、別紙で書くのもありです。(別紙は必須ではありません。)

それでは最後に、創業計画書の創業の動機に書き方のポイントを復習しましょう。

  • あなたが開業にあたって準備したことを記載する。
  • あなたのこれまでの経験を活かした事業であることを記載する。
  • 単に良い物件(店舗)が見つかったという理由だけではなく、開業のために経験したことや準備したことも記載する。
  • 提供するサービスの概略を記載する。

以上、参考になれば幸いです。

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丸山 大介 公認会計士・税理士事務所では、税務会計顧問を締結していただいたお客様に以下のようなサービスを提供しています。

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