開業するにあたって銀行口座の選び方を知りたい。
経理の効率化をするための銀行口座の選び方を知りたい。
そんな方のために、公認会計士・税理士が銀行口座の選び方をレクチャーします。
銀行口座選びのポイント
銀行口座を選ぶ際のポイントは、下記となります。
- インターネットバンキングを選ぶ
- 手数料が安いところを選ぶ
- 窓口の営業時間が長い銀行を選ぶ
- 入金をメールで知らせてくれる銀行を選ぶ
インターネットバンキングを選ぶ理由
銀行に行くことがなくなる
インターネットバンキングを利用すれば、支払いはインターネット上で完結するため、ATMや銀行に行く必要がありません。
また、入出金取引をオンラインで確認できますので、通帳記帳の手間なども省けます。
取引の履歴は、csvなどでダウンロードもできます。
会計ソフトと連動させることで経理の手間を省ける
最近の会計ソフトは、インターネットバンキングと連動して入出金の明細を自動で取り込んでくれるものがあります。
入出金の明細が取り込まれるため、会計ソフトへの取引の登録漏れや、重複登録を防ぐことができます。
また、取引日・取引内容・金額が取り込まれるため、入力の間違いも起きにくくなります。
単純な取引であれば、勘定科目を選んで登録ボタンを押すだけであったり、パターンの決まっている定型的な取引であれば勘定科目すらAIが自動で選んでくれたりします。
私の事務所で使用している会計ソフトのfreeeも、銀行取引を自動で取り込んでくれるため、上記のようなメリットを得ることができます。
ネットバンキングの利用手数料に注意
ネットバンキングを使用する際に利用手数料が発生するような銀行もありますので、利用手数料がどれくらいかかるかも注意するようにしましょう。
日本政策金融公庫の融資を受けるなら実店舗がある金融機関を選ぶ
インターネットバンキングには、実店舗がないものもあります。
日本政策金融公庫で融資を受ける予定があるのであれば、実店舗のある金融機関の口座を開設しておくといいでしょう。
なぜなら、日本政策金融公庫では口座を開設することができず、借入金を入金させる口座は、実店舗のある他の金融機関である必要があるためです。
送金手数料が安いところを選ぶ理由
ビジネスで利益をのばすためには、売上をのばすか、コスト(費用)を削減するしかありません。
銀行の支払手数料は、1回あたり数百円程度ですが、何十回、何百回と支払いをすればそれだけ手数料もかかります。
必要なコストとはいえ、送金というサービスはどこの銀行も結果に変わりがありません。
なるべく手数料が安いところを選んで、余計なコストをかけないようにしましょう。
窓口の営業時間は15時までではない
銀行の窓口の営業時間は15時までと思っていませんか?
多くの銀行は窓口の営業時間が15時までです。
しかし、15時以降でも窓口が空いている銀行はあります。
事業所の近くで15時以降も営業している銀行がないか調べてみましょう。
窓口の営業時間が長い方が使い勝手が良いのはいうまでもありません。
入金をメールで知らせてくれるところが便利
口座に入金された場合、メールでお知らせをしてくれるサービスを提供している銀行があります。
結構便利な機能ですので、銀行口座選びの参考にしてみてください。
個人事業であれば事業用の口座を作ることで経理効率化になる
個人事業の場合、事業用と家庭用の口座を区別しておくと経理の効率化になります。
これらを区別していないと、会計ソフトに事業とは関係のない個人的な入出金の取引すら記録することになってしまいます。
経理の手間を減らすには、事業用の口座を作るようにしましょう。
また、少し話がそれますが、クレジットカードを利用する方は、事業用のクレジットカードと家庭用のクレジットカードについても区分しておくといいでしょう。
freeeなどの会計ソフトでは、クレジットカードの明細も自動で取り込んでくれますので、会計ソフトの入力を効率化することができます。
クレジットカードの利用に事業と関係ない個人的なものが混じってしまうと、会計ソフトの入力の手間が増えてしまいます。
事業用のクレジットカードを作って、事業用の銀行口座から引落しされるようにしておくと良いでしょう。
使っていない口座は閉鎖する
たまにかなり多くの口座を持っている会社があったりするのですが、もし使っていない口座があったら閉鎖することで口座管理の手間を省くことができます。
特に、経理の業務フロー上、残高証明書を発行する必要があるような会社の場合、残高証明書の発行手数料などが無駄になっていることもあります。
また、不正を防止する観点からも、必要のない口座を持たないことを意識するべきです。
ペイオフ制度について
ペイオフの概要
お金を預け入れている金融機関がもし破綻してしまった場合に、預けたお金が返ってこなくなってしまったらどうしますか?
あまり考えたくないことですが、金融機関が破綻することはあります。
ペイオフとは、金融機関が破綻してしまった場合でも、1,000万円とその利息までは保護されて払い戻しされるというものです。
1,000万円を超える部分は、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払いがされます。
つまり、最悪の場合、1,000万円を超える分については払い戻しされないこともあるということです。
当座預金口座(決済用預金)は全額保護の対象となる
口座の種類には、普通預金や当座預金というものがあるのをご存知でしょうか?
普通預金口座は、普段みなさんが利用されていることの多い口座です。
普通預金口座は、金融機関の破綻の際には1,000万円までしか保護されません。
これに対して、当座預金口座は全額保護の対象となります。
したがって、1,000万円を超える金額を銀行へ預けており、銀行が破綻してしまった場合でも、預け入れた全額が保護されて払い戻しを受けることができます。
預金残高が多額になる場合は、銀行破綻リスクに備えて当座預金口座(決済用預金)を使用することを考えてもいいかもしれません。
当座預金のデメリット
当座預金は、万が一の際も全額保護される口座ですが、下記のようなデメリットもあります。
- 利息がつかない
- 基本的にATMが使えず、現金の預け入れ引出しが面倒
普通預金の現在の金利は0.001%とかです。
2,000万円預けていても年間の利息は200円ですから、もともと利息は無いようなものです。
当座預金の一番のデメリットは、現金を扱いにくいという点に尽きます。
基本的にATMを利用できないので、現金の引き出しや預け入れは窓口で行う必要があります。
ただし、入出金の手数料は無料です。
以上、開業や経理効率化するにあたっての銀行口座の選び方でした。
- インターネットバンキングを選ぶ
- 手数料が安いところを選ぶ
- 窓口の営業時間が長い銀行を選ぶ
- 入金をメールで知らせてくれる銀行を選ぶ
という点を意識して銀行口座を選んでみてください。