たった3つだけ、これさえ知っておけば大丈夫!実地棚卸3つの方法

こんにちは。

長野市の公認会計士・税理士の丸山 大介です。

今回は、実地棚卸のカウント記録方法について解説してみたいと思います。

私は、公認会計士として多くの企業の実地棚卸の現場を見てきました。

公認会計士は、決算書が適正に作成されているかをチェックする会計監査という仕事をしており、監査の中で実地棚卸が適正に行われているかどうかを現場に行って必ずチェックします。

実地棚卸には、カウント記録手法が3つありますので、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて解説します。

タグ方式による実地棚卸

タグ方式とは

タグ方式は、タグ(棚卸原票、棚卸現品票、棚札といったもの)を使用する方法です。

カウントした現物や棚にタグを貼り付けしていくことで、現物や棚に置かれている在庫がカウント済であることが明らかになります。

書き間違いをした場合は、タグに大きく×印をつけるなどして、新しいタグを使用します。(訂正はしません)

基本的にタグは2枚複写式のものや、上下で切り離せるものを使って連番管理します。

連番管理をするのは、タグを全て回収したかどうかの管理、不正な使用や混入の防止のためです。

すべての現品にタグが貼り付けされていることを確認した上で、複写の1枚または、切り離ししたタグを回収します。

書き間違いも含めて、未使用の棚札も回収し、すべてのタグが回収されたことを連番ごとに並べなおして確認をします。

タグの様式は、企業によって様々ですが、教育やコントロールの観点から全社的に統一することが望ましいです。

タグの記載事項

タグに記載する事項は、下記のようなものがあります。

1.タグNo 9.数量
2.実施日 10.単位
3.実施場所 11.適用
4.エリア 12.棚卸担当者押印欄(1次カウント・2次カウント)
5.棚番 13.エリア責任者押印欄
6.棚卸担当者(1次カウント・2次カウント) 14.実地棚卸管理者押印欄
7.品名コード 15.入力担当者押印欄
8.品名

タグ方式のメリット・デメリット

  • すべての現品にタグが貼り付けされるので、重複カウントの防止やカウント漏れがない事を確認しやすい
  • タグに現品の数量のみならず、現品の情報を記載しないといけないため、現品に関する正しい知識を持っている必要がある
    →タグを作成する段階で、アイテム情報をあらかじめ入力している企業もある
  • 現品数が多い場合は、タグの記載に手間がかかる
  • 作成したタグの情報を、改めてシステムに取り込む手間がかかる

コントロールシートについて

タグ方式で実地棚卸をする場合、コントロールシートによってタグ管理を行うことが重要になります。

コントロールシートは、エリアごとに配布したタグの枚数とNo.を管理することで、カウント漏れや不正の防止、実地棚卸の進捗状況の確認に役立ちます。

コントロールシートの記載事項

コントロールシートに記載する事項は、下記のようなものがあります。

1.実施日 8.回収したタグ(書き間違え分)のNo.と枚数
2.実施場所 9.チェック欄
3.エリア 10.実地棚卸管理者押印欄
4.担当者(1次カウント・2次カウント) 11.実地棚卸責任者押印欄
5.配布したタグのNo.と枚数 12.実地棚卸統括責任者押印欄
6.回収したタグ(使用分)の枚数 13.経理責任者押印欄
7.回収したタグ(未使用分)のNo.および枚数

リスト方式による実地棚卸

リスト方式とは

リスト方式は、あらかじめ現品の情報が記載された一覧表(リスト)を出力し、カウントする方法です。

リストは、在庫保管場所(エリア単位、棚単位など)ごとに作成します。

在庫保管場所の端から順番に現品のカウントを行い、実数をリストの所定欄に記入します。

リスト方式のメリット・デメリット

  • カウント済なのか、カウント未了なのかが一見でわからず、カウント漏れや重複カウントのおそれがある
  • 現品の情報はあらかじめリストに記載されているため、カウントした実数の数量を記載するだけよく、効率的である
  • 現品の保管場所管理が適切にできていないと、リストに記載のない現品が生じるおそれがある
  • 同一の保管場所でも、同一の現品が離れた場所にあり、カウント数量を同一のリストに記載する場合、カウントの正確性を事後的に検証することが困難になる
  • 作成したリストの数量情報を改めてシステムに取り込む必要がある

ポイントと留意点

カウント済なのか、カウント未了なのか一見でわからないのがリスト方式のデメリットですが、実際の実務の現場では、「カウント済」というような記載のあるシールなどを現品や棚に貼り付けすることで、重複カウントやカウント漏れを防止しています。

使用するリストの連番管理や、数量の記載を誤った際の訂正手続、リストに記載のない現品がある場合の手続についても注意が必要です。

バーコード方式による実地棚卸

バーコード方式とは

バーコード方式は、現場の現品や棚にバーコードを付けておき、カウントの際にハンディターミナルでバーコードを読み込んでから数量を入力する方法です。

大量の品目を扱う小売業では、商品に付されているJANコードや、SKUコード、QRコードなどを読み込む方式を採用しています。

また、部品数量が膨大な製造業の現場においても、自社の在庫管理システムからバーコードタグを発行する方法が広く採用されています。

製造業では、製品はタグ方式、原材料はバーコード方式など、棚卸資産の科目ごとに採用している方式が異なる企業もあります。

バーコード方式のメリット・デメリット

  • 現品をハンディターミナルで読み込むだけなので、事前に同一の現品を1か所にまとめる必要がなく、現品に関する知識が無くてもカウント間違いをすることなく実施できる
  • システムが整備されていない企業では使えない
  • ハンディターミナルで読み込んだ情報は、在庫管理システムに直ちに反映されるため、改めて入力する手間が省ける

まとめ

以上、実地棚卸のカウントを記録する3つの方法について解説してみました。

実地棚卸のカウント記録方法は、タグ方式、リスト方式、バーコード方式の3つだけです。

貴社の実地棚卸実施の一助になれば幸いです。

あわせて読みたい

おすすめの記事