長野県の創業融資「信州創生推進資金(創業支援向け)」の内容と申込みの流れについてご説明します。
長野県創業融資「信州創生推進資金創業支援向け」の概要
対象者 | 新規開業予定者及び新規開業者(創業した日から5年未満である方)で事業の実施のために資金を必要とする方 ※個人で新しい事業を開始する場合は、商工会等の経営指導員による経営指導を受ける必要があります。 |
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貸付限度額 | 設備 | 3,500万円 | |
※ただし、新規開業予定者の場合は、設備・運転の合計で自己資金の範囲内で3,500万円 (創業関連保証を利用できる場合は2,000万円まで自己資金不要) |
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運転 | 2,000万円 |
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※ただし、新規開業予定者の場合は、設備・運転の合計で自己資金の範囲内で3,500万円 (創業関連保証を利用できる場合は2,000万円まで自己資金不要) |
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貸付利率 | 年1.1% | ||
貸付期間 | 設備 | 10年以内(うち据置1年以内) | |
運転 | 5年 以内 (うち据置1年以内) | ||
信用保証料 | 県・市町村の補助により自己負担0.44%以内 ※創業等関連保証・創業関連保証を利用する場合は信用保証料の自己負担はありません。法人成りは自己負担あり。 |
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保証人等 | (保証人)法人代表者を除き原則不要。 | ||
(担保)必要に応じて徴する。 | |||
その他 | お申し込みにあたっては、創業計画書や経営指導員等の意見書等を提出いただく必要があります。 | ||
取扱金融機関 | 長野県内に本・支店のある信用組合、信用金庫、銀行、商工中金、県信連、信用保証協会と契約のある農協 |
出典:fa-share-square-o長野県HP 長野県中小企業融資制度(中小企業振興資金)
特徴
- 長野県が実施している制度融資
長野県「信州創生推進資金(創業支援向け)」は、長野県が実施している創業者向け制度融資の一つです。
- 個人で事業を始める場合、経営指導員や専門家の指導経営を受ける必要がある
商工会議所等の経営指導員や公認会計士・税理士・中小企業診断士などの専門家からの指導を受ける必要があります。
(当事務所でも指導を実施しています。)
- 申込みから融資実行(入金)までの期間が長い
市町村役所・長野県・信用保証協会・金融機関のそれぞれで審査があるため、申し込みから融資実行までの期間が長くなります。
- 金利が安い
制度融資は、金利がとても安いのが特徴です。
なんと、年1.1%!住宅ローン並みの金利の安さです。
といっても、金利の相場がわからないと安いかどうかわからないですよね。
通常、新規開業者向けの融資の金利は、2.5%ほどですので半額以下です。
(金利は、時勢によって変化しますが1.1%は優良企業並みに安いです。)
- 個人事業の場合は、信用保証料が無料!
個人事業の場合は、信用保証料(後述)がかかりません。
同じ長野県の制度融資である中小企業振興資金(創業枠)では、信用保証料が0.8%以下で自己負担が必要です。
ですので、長野県の創業融資では一番お得なものと言えます。
- 信用保証協会の保証が必要
融資にあたっては、長野県信用保証協会の保証が必要となります。
概要欄のなかに記載がある、「創業関連保証」「創業等関連保証」は、長野県信用保証協会の保証制度のことです。
信用保証協会というのは公的な機関で、あなたが借入れをするときに保証人になってくれるところです。
保証人になってくれるということは、あなたが返済できなくなったときに、代わりに金融機関に返済してくれるということです。
信用保証協会が保証人になってくれるので、お金を貸す側の金融機関としては安心してお金を貸せるわけです。
ただし、信用保証協会の利用にあたっては、以下の点に注意が必要です。
1.利用者の制限がある
企業規模、業種、会社や事業所の所在地などについて制限があります。
2.保証料がかかる
あなたの保証人になってくれるわけですから、保証人になるかわりに保証料が必要です。
長野県「信州創生推進資金創業支援向け」では、保証が必要な金額に対して0.44%以内の保証料を払う必要があります。
(個人事業の場合は無料)
3.審査がある
通常、融資を受けるときは、金融機関の審査を受けて合格すると融資をしてもらえます。
信用保証協会の保証を利用する時は、金融機関の審査に加え、信用保証協会の審査に合格する必要があります。
【長野県制度融資の主な相違点】
融資制度 | 長野県中小企業振興資金(創業枠) | 信州創生推進資金(創業支援向け) |
金利 | 1.1% | 1.1% |
信用保証料 | 0.8%(自己負担が必要) | 0.44%以内(個人事業主は負担なし) |
保証人 | 法人代表者をのぞき原則不要 | 法人代表者を除き原則不要 |
担保 | 徴しない | 必要に応じて徴する |
専門家の指導 | 必要なし | 個人で事業を始める場合は必要 |
融資実行までのスピード | 速い | 遅い(2か月程度、場合によっては3か月程度) |
提出書類 | 多い | 特に多い |
以上のような相違点がありますが、信用保証料の条件がいいこともあり、信州創生推進資金(創業支援向け)の利用者の方が多い状況です。
長野県信用保証協会の保証制度について
信用保証協会の保証を利用できる人
- 企業規模
企業規模に制限はあるものの、新規開業する人が気にするレベルではありません。
新規開業者のほとんどの人が企業規模で制限を受けることはないと思っていいです。
それでも心配な方は、fa-share-square-o長野県信用保証協会のホームページを参照ください。
- 業種
ほとんどの業種で利用できますが、以下の業種では利用できません。
・農林、漁業(一部をのぞく)
・農事組合法人
・金融、保険業
・風俗関連営業等
・宗教、政治経済、文化団体
・学校法人
・有限責任事業組合(LLP)
・そのほか信用保証協会において不適当とする業種
なお、信用保証協会とは別に、県の決まりで医業・歯科医業とNPO法人のうち市町村で融資対象としてない業種については融資を受けることができません。
- 所在地・業歴
長野県内に住居または事務所、店舗、工場等があり、事業を営んでいる人が対象です。
営業年数は問われません。
創業関連保証と創業等関連保証については、創業前から対象となる場合があります。
法人の場合は、県内に支店、事務所等があって、事業活動が確認できれば利用可能です。
- その他
事業開始にあたって、許認可等が必要とされている場合は、許認可等を取得している必要があります。
許認可等の取得が確実な場合と認めらる場合でも利用できることがあります。
創業関連保証・創業等関連保証について
長野県中小企業振興資金の創業枠を利用するにあっては、長野県信用保証協会の創業関連保証・創業等関連保証を利用する必要があります。
- 創業関連保証の概要
- 対象者
創業関連保証は、これから開業しようと思っている人または、開業から5年以内の人を対象とした保証制度です。
個人事業主・法人は問われません。
- 保証限度額
2,000万円までとなります。
長野県の制度融資の限度額が3,500万円までですので、2,000万円を超える融資が必要な場合は、創業等関連保証とあわせて利用する必要があります。
- 創業等関連保証の概要
- 対象者
創業関連保証と同じく、これから開業しようと思っている人または、開業から5年以内の人を対象とした保証制度です。
個人事業主・法人は問われません。
- 保証限度額
新規で開業予定の人は、自己資金を限度として1,500万円までです。
開業から5年以内の人は、1,500万円までとなります。
新規で開業予定の人は、自己資金要件があるのが特徴です。
創業関連保証と創業等関連保証どちらを選ぶべきか?
一般的には、自己資金が不要な創業関連保証を利用するケースが多いです。
利用までの流れ
- 1.利用する金融機関を決める
利用にあたっては、申込みの窓口となる金融機関を決めておく必要があります。
一般的には、メガバンク(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行)よりも地銀や信用金庫といった金融機関のほうがその後の面倒もみてもらえますし、融資に対して積極的ですので創業者にはおすすめです。
- 2.金融機関へ相談する
制度融資を利用したい旨を相談しに、金融機関の窓口へ行きます。
長野県の制度融資を利用したい旨を伝えるといいでしょう。
- 3.個人事業の場合は、専門家の経営指導を受ける
個人で事業を始める場合、商工会議所の経営指導員や、公認会計士・税理士・中小企業診断士などの専門家の指導を受けます。
- 4.必要書類の作成・申込み
作成した書類を長野市の商工労働課へ提出し、申込みします。
- 5.市役所の審査
提出された書類にもとづいて、市役所にて審査が行われます。
おおむね8日程度が必要です。
- 6.長野県の商工観光課の審査
市役所の審査を通過したら、長野県の審査が行われます。
こちらもおおむね8日程度が必要になります。
- 7.信用保証協会の審査
信用保証協会の審査では、担当者があなたの元へ出向いて、簡単な調査や面談を実施します。
- 8.金融機関の審査
信用保証協会の審査に合格すると、信用保証書が金融機関に交付されますので、これにもとづいて金融機関にでも審査を実施します。
信用保証協会の審査に合格すると、融資されることが多いですが、まれに金融機関で審査が不合格となることがあります。
審査の結果は、金融機関から連絡がきます。
- 5.融資の実行
金融機関の審査に合格すると、融資の実行(入金)となります。
出典:fa-share-square-o長野県HP 長野県中小企業融資制度
申込みに必要な書類
書類名 | 必要部数 |
申込書 | 4部 |
貸借対照表(又は試算表)と損益計算書(すでに開業している場合)※ | 4部 |
長野県県税および市町村の定める税目にかかわる納税証明書 | 4部 |
許認可証等の写し(許認可等が必要な場合) | 4部 |
金融機関、信用保証協会、県が必要とする書類 | 提出部数は各機関の指示に従う |
設計設備計画図、見積書、カタログ等(それぞれコピー可)(設備資金の場合) | 4部 |
建築確認通知書の写し(建物を対象とする場合) | 4部 |
土地売買契約書案等、土地の価格がわかる書類(土地を対象とする場合) | 4部 |
事業所以外の場所に設備を設置する場合は、設置場所の略図 | 4部 |
創業計画書(開業予定者、または開業して日が浅い場合)※ | 4部 |
創業計画書にかかわる意見書 | 4部 |
収支等計算書(すでに開業している場合)※ | 4部 |
創業支援施策対象者確認票および対象者であることの確認できる書類の写し(該当あれば) | 4部 |
事業を始めていなかったことを証明する書類(開業予定者の場合) | 4部 |
自己資金が確認できる書類(必要な場合)(開業予定者の場合) | 4部 |
開業届または、商業登記簿謄本等の写し(必要な場合)(すでに開業している場合) | 4部 |
認定特定支援等を受けた証明書(該当する場合) | 4部 |
※すでに開業している場合、いずれかの書類が必要です。
以下、信用保証協会等に対して必要な書類(それぞれ1部)
・信用保証委託契約書
・個人情報の同意書
・印鑑証明書
・「保証協会団信」加入希望確認書
・従業員数確認書類(すでに開業している人で必要な場合)
・定款の写し、商業登記簿謄本(すでに開業している人)
・農外事業資金借入申込書類(基金協会向け)(すでに開業している人)
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