法人が確定申告した際に必要な、地方税(法人県民税・法人市民税等)の納付方法について解説します。
税金の種類と納める場所の基礎知識
法人が確定申告によって納める税金は、納める場所によって大きく3つに区分できます。
納付先 | 税務署 | 道府県税事務所 | 市町村 |
主な税目 | 法人税
消費税など |
県民税など | 市町村民税など |
納税に使うシステム | e-tax(イータックス) | eL-tax(エルタックス) |
法人が確定申告した場合には、所轄の税務署、各事業所がある都道府県と市町村のそれぞれに税金の納付が必要になります。
東京23区の場合は、一部扱いが異なりますがここでの説明は割愛します。
今回は、道府県民税と市町村民税の納付方法について解説します。
納付はeL-taxを使うと便利
まず初めに結論から入りますが、地方税(法人県民税・法人市民税等)については、eL-tax(エルタックス)というシステムを使うと便利です。
eL-taxはインターネットで公開されていて無料で使うことができるシステムです。
eL-taxを使うと、インターネットを使って納付を完了させることができます。
eL-taxのメリット
eL-taxを使うことのメリットは、以下となります。
- 金融融機関窓口等へ行く必要がなくなる。
- 県や市町村の指定金融機関以外の金融機関からも納付できる。
eL-taxを使わずに納付する場合は、納付書を使って納付することができますが、以下のようなデメリットがあります。
- 納付書の形式が県や市町村ごとに異なる。
- 取扱い金融機関が県や市町村ごとに異なる。
- 身近に取扱い金融機関がない場合がある。
- 取扱い時間が限定される。
- 窓口が混雑することがある。
eL-taxを使うとインターネットを通じて納付が完結するので、便利なシステムだと思います。
eL-taxは、ダウンロード版とWeb版の2種類ある
eL-taxは、PCにインストールして使うダウンロード版『PCdesk(DL版)』とWeb上で使用できるWeb版『PCdesk(Web版)』があります。
eL-taxのデメリット
eL-taxのデメリットは、利用開始するまでの手続きがめちゃくちゃ面倒くさい!の1点に尽きます。
利用開始は大きく下記の2つのステップになりますが、それぞれのハードルがかなり高いので注意です。
1.利用届を提出(web版で可)
2.県や市町村、利用する税目の追加(DL版のみ可)
※利用届を提出すると、eL-taxの利用に必要な利用者IDを取得できます。
eL-tax導入の問題点
利用届の難点
eL-taxを使うには、まず初めに利用届を提出する必要があります。
利用届はWeb版で提出可能ですが、提出にあたって電子署名が必要です。
電子署名というのは、利用届を提出するにあたって、本人であることを証明するためのサインのようなものです。
電子署名を行うには、電子証明書の取得が必要となります。
eL-taxの開始にあたって難点のひとつは、「電子証明書の取得」です。
利用できる電子証明書はいくつか種類がありますが、ここでは法務省が運営する「商業登記承認局」が発行する電子証明書について触れたいと思います。
商業登記承認局による電子証明書取得の流れ
1.電子証明書を取得するための専用ソフトのインストール
2.電子証明書発行に必要な申請ファイルの作成
3.申請書と、申請に必要なファイルを保存したCD、DVD、USBメモリを登記所へ持参(郵送申請も可)
4.専用ソフトを使って電子証明書を取得(ダウンロード)
※電子証明書の発行には、手数料が必要です。
以上が、電子証明書の取得にかかわる流れになります。
詳細については、法務省のHPを参照ください。
電子証明書取得のご案内・法務省
fa-share-square-ohttp://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00028.html
4つのステップで電子証明書を取得すればいいので、簡単と思われるかもしれません。
しかし、法務省のHPを見てもらえるとわかりますが「ムムム」と唸ってしまいます。
利用届出を出すだけで、1日が終わってしまいそうな気がします、、、、
自治体と税目を追加する時の難点
利用届は、主な納税先の自治体を1つしか選択できません。
利用届に記載するする自治体は納税先であれば、県や市町村どこでも大丈夫です。
一か所に対して利用届を提出すれば、eL-taxの利用に必要な利用者IDを取得できます。
しかし、それだけでは、利用届に記載した自治体に対する納税手続しかできません。
したがって、通常は納税先の自治体を追加する必要があります。
例えば、長野県長野市に事業所がある場合、長野県に利用届を提出したら、長野市を別途追加で登録するあります。
ここで、問題となるが、「自治体の追加や、税目の追加はDL(ダウンロード)版でしかできない」ということです。
個人的には、どうしてそうなった?と100回くらい問い詰めたいところです。
つまり、実質的にはDL(ダウンロード)版をインストールしないと使えないということです。
eL-taxソフトをダウンロードして使用するには、インストールや設定にまたひと手間かかります。
もしかして、eL-tax使うのに、2日くらいかかるんじゃ、、、、
eL-taxを簡単に利用できる方法
eL-taxを利用するには、かなりハードルが高いことが理解できたのではないでしょうか。
ここで、eL-taxの利用を簡単にできてしまう方法をご紹介します。
それは、「税理士を使う」ということです。
税理士と顧問契約すれば、通常eL-taxの利用届を代理で出してくれます。
あなたの会社の電子証明書は不要ですし、自治体や税目の追加もしてくれます。
面倒な手続き一切不要!!
インターネットで納税できるようになります。
ここからは私見ですが、eL-taxは使い勝手が悪くて、暗に税理士使ってねと言っているような気がしてなりません。
もうちょっと、税理士以外の人に寄り添った設計が必要だと思います。
eL-taxの納付方法について【補足】
eL-taxを使った納税方法は、いくつか種類がありますので、補足として解説します。
(1)情報リンク方式
eL-taxの共通納税システムからインターネットバンキングまで、 税額等の納付に関する情報を引き継ぎ、一連の操作で納付が可能な方式。
※金融機関の多くが対応済み。
(2)ダイレクト方式
事前に登録した金融機関口座を指定して、直接納付する方式で、 納税者は、納付の操作にインターネットバンキングへのログインや暗証番号等を必要としない。
(3)オンライン方式
納税者が、金融機関のATMやインターネットバンキングに直接、ペイジーのキー情報を入力して納付する方式。
※eLTAXの時間外や現金での納付を希望する場合、有効な手段。eL-taxの利用時間は平日8:30~24:00まで(時期により異なる)なので注意!
また、DL版とWeb版では使える納税方法が異なります。詳細は下記の表を参照ください。
PCdesk DL(ダウンロード版) | PCdesk(Web版) |
・ダイレクト方式
・オンライン方式 ・情報リンク方式 |
・ダイレクト方式
・情報リンク方式 |
以上、地方税(法人県民税・法人市民税等)の納付方法【法人の確定申告】についてでした。